一度行ってみたかったんだ裁判所という場所に。
人畜無害な一般人からすると裁判所というのは非日常空間である。リーガルハイ 等のテレビの中でしか見ない光景であり、縁遠い世界と考える人も多いだろう。
人という生き物は日常生活に飽きてくると非日常を体験したくなるものだ。
ある人は海外旅行でバカンスをしたくなり、またある人はディズニーランドに行きたくなるのだろう。日常からの逸脱を求めてエンターテイメントを消費するのである。
「エンターテイメントの消費の一環として裁判を傍聴をする」などというと角が立ち、批判を受けそうだ。
しかし、ドラマの中のイメージしかなく、裁判に縁遠い我々からするとそのような考えを持つことも不思議ではない。
そんなこんなで私は先日有休を取得して、 東京地方裁判所へ行ってきた。
まだ人生で一度も裁判傍聴をしたことのないあなたへ初めての裁判傍聴のためのポイント等を以下に記しておく。参考になれば幸いだ。
初めての裁判傍聴で知っておくべき9つのポイント
裁判傍聴に初めて行く人のためにポイントを9つにまとめた。
✅平日しかやってない
✅裁判内容は事前調査不可
✅危険物NG & 紙とペン必須
✅服装は何でもOK
✅所要時間は裁判による
✅法廷の数は多い
✅刑事事件の「新件」か「判決」
✅途中退室OK
✅傍聴人はたくさんいます
初心者は上記を意識すると良いだろう。以下で詳しく解説する。
裁判は平日しかやってない
サラリーマンの皆様には悲しいお知らせである。
残念ながら裁判は基本的に平日しかやっていない。
法廷が開かれているのは土・日・休日・年末年始以外の以下の時間帯だ。
- AM10:00頃から12:00くらい
- PM1:00過ぎから4:00過ぎくらい
サラリーマンのみなさんは有休を取得して傍聴しよう。
ちなみに予約等は不要なので、気が向いたときにふらっと行けば良い。
どんな裁判が行われるかは行ってみないと分からない
実際に行く日に裁判が開かれているのか、またどんな裁判が行われているのか事前に調べておきたくなるものだ。
しかし,残念ながらインターネット上に公開はされていないようだ。
一部の著名な事件については、傍聴するために傍聴券が必要な場合があり,対象の事件について裁判所のホームページで公開されている。
裁判所に到着すると開廷表という「どこの法廷でどんな裁判を行っているか」一覧になっている表が置いてある。
私はデカい紙が壁に貼られているのだろうと想像していたが、東京地方裁判所ではIT化されているようで、タブレット端末が約20台くらい用意されていてそれを各自スクロールしながら見たい裁判を探していく方式である。
それを見て各自行きたい法廷へ足を運ぶことになる。
危険物は持ち込まない&紙とペンを持っていくべし
言うまでもないが裁判所には危険物を持ち込んではいけない。
入口で空港にあるようなX線手荷物検査と金属探知機のゲートを通ることになる。
東京地方裁判所が唯一上記検査機とゲートを常設しているようだ。
変なものは持って行かないようにしよう。
法廷では録画・録音はできないし、携帯も電源を切る必要がある。
また、裁判の内容を頭で整理するためにも紙とペンは必須アイテムだ。
何より1階の開廷表を見て気になる裁判をすべてメモって置かないと1階と10階を何往復もしなければいけなくなったりする。
開廷表は大勢の人が見るので時間によっては並ぶ必要もでてくるので注意しよう。
服装は特に気にする必要なし
まじめなあなたなら、どんな服装で行けばよいか気になるだろう。しかし、結論から言うと服装は何でもよい。
キレイ目の服装に越したことはないが、結構派手目の服装をした人もちらほら見かけた。
- 原宿にいる様なパステルカラーの服の女性
- 少々小汚い身なりのおっさん
など様々だ。
裁判によって開始・終了時間、所要時間はまちまち
その一でも記載したが、法廷が開かれているのは以下の通りだ。
- AM10:00頃から12:00くらい
- PM1:00過ぎから4:00過ぎくらい
私はほとんどの裁判がAM10:00ぴったりから始まって12:00くらいまで2時間丸々行うのだろうなと思っていたが、実際にはそうではない。
AM10:00から始まるものもあれば,AM11:00から始まるもののある。
30分で終わる裁判もあれば、1時間行う裁判もある。判決を言い渡すだけの裁判だと10分くらいで終わる裁判もあるほどだ。
裁判の時間は内容によって開始時間も所要時間もばらばら
AM10:00前に裁判所に着くように朝起きれなかったあなたも諦めて帰らなくても大丈夫だ。
法廷の数が想像以上に多い
東京地方裁判所に特化した話となるが、めちゃくちゃ法廷の数が多くて迷ってしまうほどだ。
庁舎は東京高等裁判所・東京簡易裁判所も同居する19階建てのビルで受理する事件の数、法廷の数はともに日本一である。
迷ったら「刑事事件」で「判決」か「新件」を選ぶべし
始めて開廷表を見ると絶対に迷ってしまうだろう。
そんなあなたは、
「刑事事件」で「判決」か「新件」
を選ぼう。
「民事事件」でも良いのだが、不正競争法防止、著作権、労働災害等の些かとっつきにくい内容のものが多い。
また、民事は書面主義のようで書面の通り読み上げるだけで終わってしまうものが多いようだ。
「刑事事件」だと殺人・恐喝・暴行・窃盗などと何をして、どう悪いかが分かりやすい。
よって、傍聴素人の我々にとっては「刑事事件」から傍聴するのが適当だろう。
事件の中でも「新件」、「審理」、「判決」と3種類がある。
- 「新件」は文字通り第一回目の裁判
- 「審理」は2回目以降の裁判
- 「判決」は判決が言い渡される
私はこの中で「新件」と「判決」でかつ比較的長めに時間がとられているものをお勧めする。
「新件」は事件のいきさつを最初から説明してくれるので分かりやすいからだ。
予定時間が短く取られているものについては、今後の進行の段取り等を決めるだけで中身に入らず終わってしまうものもあるので要注意。
また、我々サラリーマンにとっては、
「2回目以降が気になるのに行けない!」
なんてことになってしまうことが容易に予想できるので、若干のもどかしさを感じてしまうかもしれない。
一方、「判決」は文字通り判決が言い渡される裁判だ。
我々、人畜無害な一般人にとっては、
「主文、被告人を懲役〇〇年に処する。~」
というドラマでしか聞かないこの言葉を聞くために、裁判所まで足を運んでいるようなものではないだろうか。
また、一般的に主文が読み終わると判決理由を読み上げることになる。
その際に、
- 登場人物は誰でどういう背景があったのか
- 被告人が行ったことの説明
- 量刑を科す理由
等をかなり具体的に説明してくれる。
要するに、「判決」の会は結論とこれまでの要約が詰まっている会となっているので一回で事件のあらすじと判決を理解することができる。
10分程度と時間が短すぎる「判決」の裁判については単純明快な裁判であるだろうからあっけなく終わってしまう可能性は高いので合間時間に見に行く程度に考えておくくらいが良いだろう。
途中入室・途中退室はOK
全然OKである。
静かに入って静かに出る分には全く問題ない。
「とはいっても」と思う人もいるだろうが、事実途中の出入りは結構ある。判決だけ聞いて出ていく人もいれば、被告人が原告側の主張を全面的に肯定した瞬間に出ていく人もいる。
少々遅刻したからと言って尻込みせずに堂々と法廷に入っていって構わない。
傍聴人もそこそこいるので安心すべし
いざ傍聴しようとして、
「傍聴人が自分一人だけだったらどうしよう」
なんて考えてしまうものだ。
しかし,安心してほしい。「刑事事件」で「判決」か「新件」を選べばたいてい多くの人が傍聴している。
自分も初めて傍聴が児童ポルノ法違反だったので「自分一人が傍聴人だったら恥ずかしいな」なんて思ったが、結果傍聴人は20~30人ほどで満席になった。
ちなみに法廷の入り口は、「傍聴人入口」、「検察官・弁護人入口」と2種類あるが間違えないように注意しよう。
裁判傍聴に興味があるあなたにオススメ映画・ドラマ・アニメ3選
以下では裁判傍聴に興味があるあなたにオススメできる映画・ドラマ・アニメを紹介しよう。
現実の裁判に近いシリアスなものからコミカルなものまで取り揃えて見た。
すべてオンライン配信サービスで配信されているので無料期間に観てしまえばお金をかけずに観れるのでオススメだ。もちろんこの方法は合法だ。
裁判傍聴に興味があるあなたにオススメ映画
裁判傍聴に興味があるあなたにオススメしたい映画は「それでもボクはやっていない」だ。
主演「加瀬亮」の主人公「金子徹平」が朝の通勤ラッシュで痴漢に間違えられ連行されるシーンから始まる。
濡れ衣を晴らそうとするも、刑事には信じてもらえず裁判まで発展し、法廷で戦い続ける姿が描かれているシリアスな映画だ。
周防正行監督による実話をモデルにした映画であり、刑事裁判や人質司法に疑問を投げかける社会派の作品となっている。
詳細はこちらの記事で紹介している。
当映画はU-NEXTやFOD等でオンライン配信されており、約1ヶ月の無料トライアル中に観て解約してしまえば、合法的に無料で映画を観ることができる(2019年11月時点)。
U-NEXT公式HPはこちら
FOD公式HPはこちら
裁判傍聴に興味があるあなたにオススメドラマ
裁判傍聴に興味があるあなたにオススメしたいドラマは『傍聴マニア09 〜裁判長!ここは懲役4年でどうすか〜』だ。
主演「向井理」の主人公「北森夫」が徐々に裁判傍聴に魅せられていくというストーリーである。
法廷で繰り広げられる赤裸々な人間模様と傍聴人の感情移入していく姿が見どころで、コミカルな雰囲気のドラマである。
原作は『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』という北尾トロによる日本のエッセイ作品である。
詳細はこちらの記事で紹介している。
当ドラマはhuluでオンライン配信されており、約2週間の無料お試し期間中に観て解約してしまえば、合法的に無料で映画を観ることができる(2019年11月時点)。
公式HPはこちら
裁判傍聴に興味があるあなたにオススメアニメ
裁判傍聴に興味があるあなたにオススメしたいアニメは『逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~』だ。
『逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~』は2016年代に日本テレビ系列で放送されていた「逆転裁判」というゲームを原作とした法廷バトルアニメだ。
「異議あり!」の言葉と共に華麗なる逆転劇を繰り広げる姿が爽快だ。
アニメも2018年にはSeason2が放送され、大人気アニメとなった。
当アニメはhuluやU-NEXT等でオンライン配信されており、無料お試し期間中に観て解約してしまえば、合法的に無料で映画を観ることができる(2019年11月時点)。
ちなみにhuluならseason2も配信されているのでオススメだ。
公式HPはこちら
U-NEXT公式HPはこちら
まとめ:エンターテイメントの消費としての裁判傍聴
裁判所というと敷居が高いイメージがあるが、誰でも無料で気軽に入ることができる。
予約も不要なので気が向いたときにふらっと行けるのである。
行ってどうなるわけではないが、一人の人間に対して量刑が科される瞬間をリアルに体験することは人生の内一度くらい体験してみても損はないだろう。
以 上